「次から気をつけます」は対策ではない。ミスを「仕組み」で防ぐ外資系の思考法

仕事のこと

1. とっさの「気をつけます」という罠

仕事でミスをした際、とっさに「すみません、次から気をつけます」と口にしていないだろうか。

「気をつける」というのは根本的な「対策」ではない。何をどう気をつけるのかは分からないが、気をつけたところで人間はまたミスをする。 その人は意識することでミスをする可能性が低下するかもしれない。しかし、他の人はまた同じミスをする。一度発生したエラーは、誰にでも起こりうるミスなのだ。

2. 前職のケータイショップで横行していた精神論

ケータイショップで働いていた時代、ミスが発生すると「もっと注意して確認しましょう」と朝礼で周知されていた。「意識して」「気をつけて」など、似たようなパターンはいくつもある。

しかし、作業をしているのが人間である以上、どれだけ気をつけてもミスは起こる。疲労や焦りがあればなおさらだ。そもそも「気をつける」「意識する」というのは個人の注意力に依存したただの精神論であり、何の解決にもなっていないのである。

3. 外資系で叩き込まれた「真因」の特定と仕組み化

現在の外資系企業では、ミスが起きた際、個人の責任を追及するのではなく「なぜそのミスが起きたのか(根本原因=真因)」を徹底的にDive Deep=深掘りする。 ミスが起きた原因は何なのか、それは何故なのか‥を最低3回、できれば5回程度は繰り返して、根本的な原因を特定する。簡単に言えば「なんで?」をひたすら繰り返す。人によっては「詰められている」気分になるかもしれないが、仕組み化には原因を追求することは必要なことで、その原因に対して具体的な対策を取ることで、再発を防止する「仕組み」を作るのだ。

例えば「Excelの入力ミスで請求額を間違えた」場合、深掘りは以下のように進む。

  • 1回目の「なぜ」: なぜ金額を間違えたのか? ➔ 手入力で数値を打ち間違えたから
  • 2回目の「なぜ」: なぜ手入力したのか? ➔ 別の集計表から数値をコピー&ペーストしていたから
  • 3回目の「なぜ」: なぜ手作業でコピペしているのか? ➔ データが自動連携されていないから
  • 4回目の「なぜ」: なぜ自動連携していないのか? ➔ 連携させるマクロやシステムを組んでいないから

ここで精神論に頼ると「コピペのときに2回確認する」というダメな対策になる。 しかし、真因(自動連携されていないこと)まで深掘りすれば、「マクロを組んでボタン一つで転記させる(手入力をゼロにする)」という本質的な仕組み化の対策が導き出せるのだ。 このように「精神論」と「仕組み化」では、対策の着眼点が根本から異なる。

  • ダブルチェックを徹底する ➔ システムで必須入力に制限をかける
  • 手順書をよく読むようにする ➔ 手順書を見なくても直感的に操作できるUIにする
  • 次から忘れないように気を付ける ➔ エラーが出たらアラートが鳴る仕組みを組む

4. ミスができる環境が悪い(という責任転嫁)

真の対策とは、「物理的にそのミスを起こせない仕組み」を作ることだ。入力欄をプルダウンにして自由記述をなくす、バーコードスキャンで手入力を排除するなど、人間の介入余地を減らすことが最も確実なエラー防止策となる。

…と、偉そうに語っているが、自分自身もちょくちょくミスはする。しかし、ミスができる仕組みが悪いのだ。そう、わたしは悪くない(と言い聞かせて10年超‥)。だからこそ、自分がミスしない仕組みを講じる。

大小問わず、ミスが発生したら淡々と対策を打っていく。Excelで入力をミスしたのなら、マクロを組んで手入力を無くす。狭いところを通ろうとして転んだのなら、通れないように何か物を置く。作業をやり忘れたなら、タスク管理ツール(ToDoリストなど)を活用する。 ちなみに、自分がやらないといけないルーチン作業はAsana(プロジェクトやタスクを管理するツール)を活用しまくっているし、最近はAIに一部の事務処理を自動で代行させたりもしている。本当に便利な世の中になったものだ。

5. 結論:精神論を捨て、システムで解決する

ミスした人は悪くない。ミスができる環境が悪い。ミスしてほしくないなら、ミスできない仕組みにするべきなのだ。
これが長年外資系で生き残ってきた中で学んだ、最も合理的で、かつ自分のメンタルを維持しつつ正当化できる思考法である。

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