1. 外資系で染み付いた「Dive Deep」と代替案を探る思考
私が勤めている外資系企業には、「Dive Deep」という行動規範がある。要するに、事象に対して「なぜそうなるのか」を徹底的に深掘りしようというカルチャーだ。 業務でミスをした時やうまくいかなかった時はもちろん、成功した時でさえDive Deepを求められる。
この深掘りは、最低3回、いける時は5回程度「なぜ?」を繰り返す。そうすることで、表面的な理由ではなく「真因」を特定しやすくなるからだ。真因が特定できて初めて、その後に効果的な対策を検討するためのスタート地点に立てる。
そしてもう一つ、常に「できる方法を考える」ことが求められる。 新たな取り組みや無茶振りのようなタスクが舞い込んでくるのは日常茶飯事だ。直感で「無理だろ」と思える仕事に対しても、最大限「できる方法」を模索するようにしている。
もちろん、100%の実現が不可能なことはある。それでも、ただ「時間がないのでできません」と返すのは印象も悪く、信頼を損なう。本当に不可能なのであれば、数値を用いて明確かつロジカルな説明ができれば別だが、ちょっとやそっとじゃ納得されない。また、外資系企業とはいえ、ただ数字だけで判断されるのではなく「信頼感」が物を言うことは往々にしてあるのだ。それであれば「ここまでならできる」「こっちのタスクを後回しにしていいならできる」といったように、明確に「何だったら実現可能なのか」を提示し、タスクそのものを調整していくことが、後々のことも踏まえた現実的なフォローとなる。
2. 日常に見え隠れするDive Deep。銀行窓口でクレーマーになる。
この環境に10年以上いると、日常生活のちょっとした不都合に対しても無意識に「なんで?」「こうしたらできそうじゃない?」という考えが頭をよぎるようになる。もはや病気だ。今までも脳裏のどこかでは過ってはいたのだろうが、最近は悪化し表面化した。頭の中で思うだけでなく、確認しないと気が済まないのだ。
そんな思考の癖が裏目に出たのが、以前、地方銀行の窓口へ住所変更の手続きに行った時のことだ。
事前に必要書類は確認していたものの、窓口で「投資信託の口座を持っている場合はマイナンバーカードが無いと手続きできない」と告げられた。コピーなどは不要だが、住所変更の書類に番号を書く必要があるそうだ。事前に言われていなかったのでマイナンバーカードは持参しておらず、窓口まで遠く時間もない。何より面倒くさい。
「書類にマイナンバーを書くだけ」であれば、書類を持ち帰り家で記入して返送するのではダメか?と質問兼提案をしてみたのだ。しかし回答はNo。参考までに郵送手続きができない理由を聞いてみた。対面での受付がルールなのか、マイナンバーの目視確認が必要なのか‥ただ純粋に質問をしただけ…のつもりだった。するとスタッフは奥へ引っ込み、数分後に上席の男性が登場。両手で名刺を渡され、ひたすら丁寧に状況確認された後、「郵送ではできかねまして‥」と申し訳なさそうに告げられた。それは先程のスタッフから聞いたし、今の質問は「できない理由」である。
しかし、この接客トークの手順、どこかで聞いたことあると思ったら、ケータイショップ時代に受けた「クレーム対応研修」の手順そのままだ。まるっきりそのまま。完全にクレーマーとして処理されていた。ちょっと質問しただけのつもりなのに。
3. まとめ
「Dive Deep」も「できる方法を考える」姿勢も、外資系企業で生き残るためには必要な思考である。自分はDive Deepがそこまで得意な方ではないが、日常的に深掘りすることを求められていると、自然と「それってなんでだっけ?」が頭に付きまとうようになる。
とはいえ、難しく構える必要はない。結果から直近の状態へ「なんでこの結果になったんだろう?」と遡っていくだけだ。1つずつ「なんで?」を確認していけば良い。中には「予測」が含まれるかもしれないが、それでも構わない。
【Dive Deepの具体例】
- 怪我をした
- → 転んだから
- → ボールを踏んだから
- → ボールが落ちていたから
- → 片付けていなかったから
- → 片付ける時間がなかったから
- → 片付ける時間が予定に入っていなかった
- → 片付ける時間が必要だと思っていなかった…
- 結論:じゃあ、片付ける時間をスケジュールに組み込んでみよう
みたいに遡っていくと、具体的な解決策が見えてくる。もちろんこれは一例で、色んなパターンのストーリーができると思う。2つ3つストーリーを考えて実行してみてもいいだろう。
ただし、一つだけ気をつけなければならないのは「社外ではほどほどに」だ。一歩間違えるとただの面倒くさいクレーマーとして扱われる。社外の人に対しては、あまりDive Deepしないほうがいい。一歩外に出たら、面倒な理屈は飲み込んで「そうですか、出直します」と大人しく引き下がるのが、一番無難で平和な解決策なのである。


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