前職で自然消滅した「5S」。外資系で徹底される「3定」と「5S」

仕事のこと

1. そもそも「5S」とは何か?前職で自然消滅した思い出

「5S(ごえす)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。 簡単に言えば、「徹底的に無駄を排除して、業務効率を上げるためのお片付け・環境づくりのルール」とイメージしてもらえればわかりやすい。「要は職場の掃除活動でしょ?」と思われがちだが、実は単なるキレイ好き活動ではないのだ。

思い返せば、前職のケータイショップでも「5S」という言葉が1度だけ登場した。ある日突然、上層部の偉い人が「うちのケータイショップでも5Sを徹底しよう!」と言い出したのだ。 しかし、具体的な説明も教育も一切なし。結果としてただの「ちょっと大掛かりな清掃活動」が2回ほど実施されただけで、気づけば「5S」という言葉自体が自然消滅していた。 5Sの定義・目的も知らされず、ただ「とりあえず清掃しよう」という導入では、日々の業務に追われる現場に定着するはずがないのだ。

2. 5Sの目的

現在私が所属している外資系企業(某ECサイト)の物流倉庫などでは、この5Sが徹底されている。 改めておさらいすると、5Sとは以下の5つの頭文字をとったものだ。

  • 整理 (Seiri): 必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てる。
  • 整頓 (Seiton): 必要なものを必要なときにすぐ取り出せるように配置する。
  • 清掃 (Seisou): ゴミや汚れを取り除き、綺麗な状態を保つ。
  • 清潔 (Seiketsu): 整理・整頓・清掃が行き届いた状態を維持する。
  • 躾 (Shitsuke): 決められたルールや手順を正しく守る習慣をつける。

5Sがなぜ重要なのか。それは「探す時間」という、何も生み出さない完全な無駄を排除するためだ。ハサミ一つ、データファイル一つを探すのに毎日3分かけていれば、チリツモで膨大な時間が失われる。 ケータイショップ時代は、バックヤードに在庫や備品が無秩序に置かれ、探し物に時間を費やすことが常態化していた。あの頃の現場に足りなかったのは、気合ではなく仕組みだったのだ。

3. 5Sを機能させるための具体的なアクション「3定」

そして、この5Sを単なるお片付けで終わらせず、具体的なシステムとして定着させるための手法が「3定(さんてい)」である。

  • 定位(どこに):物の置き場所を明確に決める。
  • 定品(なにを):そこに置くものを決める。
  • 定量(いくつ):そこに置く数を決める。

今の職場では、物の置き場所が完全に決まっており、誰が見てもわかるようにラベリングされている。例えば、ハサミはこの引き出しの右側、コピー用紙の予備は常に3束まで、といった具合だ。 「あれどこいった?」と探し回ったり、誰かに聞いたりする手間が発生しない。ルールと配置が完全に決まっているため、新人だろうとベテランだろうと、容易に必要なものにアクセスできる。

4. 個人のデスクから始める5Sと3定

これは物理的な倉庫だけの話ではない。PCのデスクトップや共有フォルダの階層も全く同じだ。 不要なファイルは捨て(整理)、命名規則を統一してすぐ検索できるようにし(整頓)、フォルダ内を定期的に見直す(清掃・清潔)。 5Sと3定は「物理的な効率化のシステム」なのである。

「そんなこと面倒くさい」と思うかもしれない。確かに面倒くさいといえば面倒くさい。しかし、のちのち何かを探す時間ほど無駄なものはない。誰かが持ち出したことに気付かないまま、永遠に戻ってこない備品がないだろうか。最初に置き場所とルールを決めてしまうことで、後々の「探す手間」という最大の無駄を回避できる。定位しておくことで、誰かが持ち出していることも見てわかるし、定量を決めておくことで気付いたらコピー用紙を切らしていた…なんてことも回避できるのだ。これほど簡単で合理的な仕組みはない。 もしあなたの職場で「5Sをやろう」というフワッとした号令が出たら、ただ掃除をして終わるのではなく、まずは自分のデスクの上のペン1本、PCのフォルダ1つから「3定」を意識してみてはどうだろうか。

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