「多い」ってどれくらい?数字で会話する外資系カルチャーと職業病

仕事のこと

1. 定性的な言葉が引き起こす罠

「最近、この種のトラブルが多いんです」

日常会話ならこれで通じるが、今の職場でこの発言をすると、即座に「多いって、具体的に何件?全体の何パーセント?」と聞かれる。

「多い」「少ない」「増えた」「減った」…。これらの言葉は「定性的」であり、人によって認識や受け取り方が異なる。自分にとっての「多い」が10件だとしても、相手は100件を想像しているかもしれない。この認識のズレが、話や認識が噛み合わない原因になり、後々大きなトラブルに発展する可能性もあるのだ。

2. 外資系で求められるデータに基づく会話

思い返せば、前職のケータイショップ時代は「最近クレーム多いですね」「気をつけて減らします!」といった感情論や精神論で現場が回っていた。しかし、外資系企業では、すべての事象を「数字(データ)」で語ることが求められる。

  • × 曖昧な表現:「最近、顧客からの問い合わせが増えています。」
  • ○ 定量的な表現:「今週の問い合わせ件数は150件で、先週と比較して20%増加しています。」

これらの数値が提示されると、共通認識で客観的な「多い・少ない」「良化・悪化」といった状況を誰にでも正確に伝えることができる。今後どこまで数値が増減するのか予測をつけることもでき、事前に対策を打つことも可能になる。

3. 数字が説得力を生む

数字を出すためには、当然ながら現状のデータを常に計測・記録しておく必要がある。最初は面倒に感じるかもしれないが、上司に何かを提案したり、改善を要求したりする際、客観的なデータほど強い武器はない。

感情論や感覚ではなく、数字を用いた事実(ファクト)で会話する。数字を用意しないままミーティングで発言しようものなら、集中砲火で詰められかねない。発言の根拠となる数値は何かしら用意しておく必要がある。実数なのか比率なのかは、その状況によってうまく組み込むとよいだろう。

4. 身近なことから数値を活用する

例えば、職場の備品の消費量はどうだろうか。 数値化していないと「最近減りが早くなった気がする」と感じることはできるかもしれない。でも、それに気付かない人もいるし、気付いても「どれくらい」なのかは誰にもわからない。備品を余分に購入しようとしても、どんぶり勘定で「いつもより10箱多く買っておくか」と根拠のない数量で会社の経費を使い、スペースを確保することになる。

これを数値化して記録しておけば、1週間や1ヶ月といった一定期間中の消費量に増減があったことが客観的にわかる。このペースで消費するといつ在庫切れになるかが見えるため、無くなる前に余裕を持って必要な量を発注することもできるようになる。経費もスペースも無駄を最小限に留めることが可能になるのだ。

他にも、身近なところで数値を活かせる場面は意外と多い。

日々の運動量の管理
なんとなく「今日はたくさん歩いた気がする」と疲労感だけで満足していても、実際には大して歩いていなかったりする。しかし、スマホやスマートウォッチで歩数を可視化し、「今日はまだ8,000歩だから、あと少し遠回りして帰ろう」と数値で把握すれば、感覚に頼らない確実な健康管理ができる。

生活費と無意識の浪費
家計簿なんかは本当に身近な例だろう。「最近なんだかお金が貯まらないな」と感覚で嘆く前に、コンビニで使っている金額を1ヶ月分記録してみる。コーヒー代やちょっとしたお菓子代が、意外と大きな出費になっていることもあるだろう。自分の予想をあっさり超えている事実に気付けば、無意識の浪費を客観的に自覚できる。数字は嘘をつかない。

5. 日常にまで浸食する面倒くさい職業病

仕事で常に定量化を求められ続けた結果、日常のちょっとした会話でも「それって具体的にどれくらいなんだろう‥?」と数字を欲しがるようになった。欲しがり屋さんだ。

友人から「最近、雨の日が多いよね」と言われたら、口にはしないものの「本当に多いの?どれくらい?」って脳裏を過ってたりする。面倒くさいおじさんにならないように我慢しているが、仕事ではこの面倒くさい思考が無駄な認識のズレやトラブルを回避できているのもまた事実なのだ。

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